キャリアデザインのすすめ

仕事とライフスタイルに悩む弟妹達へ。人生は自分でデザインしよう。

書評:『悲嘆の門』 宮部みゆき著

こんにちは、Amyです。

 

1月も出張移動が多く、隙間時間で5冊ほど読書しています。

ハードカバーで重かったのですが、宮部みゆきさんの『悲嘆の門』を上下巻ともに読み終えました。

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感想(2件)

 

 

☆読書量が多い私、一気に読めた本

 

 

私は多読な方です。

子供のころから読書週間があり(母に感謝)、大人になってからもかなりの量の読書を楽しんでします。最も好きな作家はウンベルト・エーコ。 『フーコーの振り子』は何度も何度も繰り返し読んでいますが味わい深い。

ビジネス書は月5-6冊。何かテーマを持って業界の勉強している時期は20冊ほど読みます。

哲学書は時間をかけて読むのでかなり時間がかかりますが。

 

そんな私、上下巻ハードカバーの『悲嘆の門』は1週間かからず読めました。

読みやすく(宮部みゆき氏はやはりすごいですね)、真相を知りたいというミステリー小説のような探求的雰囲気もたっぷりとあり、一気に読めました。

 

 

☆ファンタジー小説は苦手

 

 

ただ、ファンタジー小説はあまり好きではないので、途中でがっかり。

宮部みゆきさんの作品は大好きで、特に『理由』は素晴らしかった。

著者は多重債務をテーマにした『火車』や、何度も映画化ドラマ化されている劇場型犯罪の『模倣犯』など、社会的な犯罪テーマの秀逸な作品を輩出している作家さんです。

 

『悲嘆の門』は、ネット犯罪や中高生のネット掲示板でのいじめなどを扱っているということで興味を持ち、読みました。

 

が、ファンタジー小説とは知らなかったので、途中でがっかり。

そういえば、宮部さんは悲惨な事件物を書くのがつらくなった、というようなインタビューをどこかで読んだことがありました。

以前彼女のファンタジーもの(ICOという子鬼のような主人公がでてくるお話し)を読んで、「あらら」と思い、それ以降は読むつもりもなかったのですが。

 

 

☆宮部みゆき、ってすごい

 

 

ファンタジー小説とわかった時点でやめようかと思ったのですが、出張先で他の本も、電子書籍のストックも中途半端で、結局そのまま読みました。

 

宮部みゆきさんレベルの作家になると、やっぱり、本当に文章がうまく構成がしっかりしていますよね。読みやすいのでがっかりしながらもすぐに読めてしまいました。

下巻もあっさり読破。

 

私は中世~近世のヨーロッパが好きですので、歴史書や歴史小説も多く読んできました。その延長で、ネット上でファンタジー小説も一時期たくさん読みました。

はじめからファンタジーとわかっていれば、竜や剣士や魔法使いが出てきてもそのまま読み進められますし、ネット上で素人が書いている小説でも面白いものがたくさんあるんだな、とポジティブな印象を持っていました。

でも、特に好きではないのです、このジャンル。

 

それでも最後まで読ませてしまう宮部みゆきさん、ってすごいなとそちらの方に感動してしまいました。

物語の構成や、章のまとめ方、登場人物の描写、サイバーパトロールの細やかな取材・説明、ミステリー感の出し方、本当に見事です。

私も小説を書きたいと思うことがありますし、小説家を目指している方もたくさんいると思います。

 

でも、新人賞をとった小説や、新進作家の小説などを読むのと、ベテランのベストセラー作家の作品を読むのは次元が違う。

アイデア、取材力、表現力、そして書く技術。どれもすごいレベルだなぁ、と感心しました。

 

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感想(5件)

 

☆言葉の美しさ

 

 

もう一つ、『悲嘆の門』で素晴らしいのは、言葉の美しさです。

インターネットという文字上でのやりとりがテーマとなっている所以でしょうが、とても美しい言葉があふれています。

 

始源の大鐘楼

言葉という精霊(すだま)が生まれ出(いず)る領域(リージョン)

数多(あまた)の異形のものども

咎(とが)の大輪

漆黒は錬鉄、銀色は水銀

 

文中にも美しい日本語がちりばめられているので、その点は非常に気分がよかったです。

 

 

☆言霊、ことば

 

 

言霊(ことだま)という観念が日本にはありますが、私は若いころからこれは真実と感じています。自分が発する言葉、特に「書く」ということは、このようなブログも含めて自分の一部であり責任を持たなくてはいけない。

 

宮部みゆきさんが『悲嘆の門』を書いた意図と全く同じではないでしょうが、その意味がなんとなくわかります。

 

どこかで読んだ物語に、お寺におさめられている経文の文字が、夜になると寂しくて浮き上がり、あたりを浮遊する、それが幽霊だという騒ぎになる、というものがありました。

詳しい出典わすれましたが、不思議話か怪談の類だったでしょうか。宮部さんの江戸モノかな?

 

いずれにせよ、文字はそこに表現された時から意味をもって、まるで小さな魂をもっているかのようにうごめきはじめることがあります。

 

ネット上での言葉のやりとりに疲弊した方に、おすすめしたい本です。